英国栄養士協会が注意勧告【やってはいけないダイエット10選】
こんにちは、今日はイギリスの英国栄養士協会が「こんなダイエットはしないでください!」と注意喚起を促しているダイエット方法をご紹介します。
これはその年に流行ったダイエットで「これは良くないダイエット」と英国栄養士協会が判断したものを5つ紹介しているものです。
残念ながら2020年、2021年は新型コロナウイルスの流行のため、免疫系の食事情報が多くダイエット方法の事は発表されなかったのですが、今日は2018年、2019年に発表された【やってはいけないダイエット方法】を10個発表させていただきます。
もちろん少し前に発表されたものですが、現在でもやっている人がいるものも多いため、参考にしてみてください。
◆2018年の禁止ダイエット
ではまずは2018年に発表されたやってはいけないダイエット方法はこの5つです。
・生菜食ダイエット
・アルカリダイエット
・ケトジェニックダイエット
・ピオッピダイエット
・ケイティプライスダイエット
●生菜食ダイエット
生菜食ダイエットは別名ロービーガンダイエットとも言い、お肉や魚・卵・乳製品など動物性のものを避け、植物性のものを生で食べるダイエットです。
確かに野菜を多く食べることは重要ですが、野菜ばかりだと栄養が偏ってしまいます。
特に身体を構成するタンパク質や脂質などの必須栄養素が不足し健康を害するリスクが高くなります。
また赤血球を作るであるビタミンB12、骨などを強くするビタミンDも不足しやすいため免疫なども弱くなってしまいます。
更に野菜は生で食べた方が何となく身体に良さそうなイメージですが、実際は加熱した方が栄養価が高くなる食材もあるため何でも生がいい訳ではありません。
しかし、英国栄養士協会は「無闇に生菜食の食事を行うと良くないが、不足する栄養素を補い計画的に行うと健康になる可能性もある。ただ減量できるとは限らない」と言っています。
つまりこのダイエット方法はきちんとすれば痩せる可能性は少ないが、健康になる可能性が少しあるということです。
それなら単純にバランスの取れた食事をする方がマシだとは思いますが・・・
●アルカリダイエット
これはアルカリ水やアルカリ性の成分を含んだ食材を多く摂取するダイエットです。
人間はpH7.4±0.05といった濃度を保っており、弱アルカリ性です。
そのため酸性になると身体を老化が早まる・壊すなどと言っている方がいます。
しかし、アルカリ性の食材を食べても身体の中の濃度がアルカリ性になる事はありません。
「酸性になると老化が早まるからアルカリ性のものを食べて戻す必要があります!」と言っている方は人間の根本的な生理学の知識がない人です。
人間には恒常性機能があるため基本的に呼吸や腎臓などでpHが傾かないようになっています。
人間のpHが傾く時は腎不全や糖尿病など重篤な病気になった時です。
そもそも食材の酸性、アルカリ性はその食材を燃やして出来た灰を水に溶かして残ったミネラルなどから判断しているだけなため、酸性だろうとアルカリ性だろうと関係ないのです。
「アルカリ性」と言われると身体に良い気がしますが、科学的根拠はないです。
アルカリ性については以下の記事を参考にしてください。
●ケトジェニックダイエット
これは日本でもとても流行った糖質制限ダイエットですね。
多くの場所で「健康に良くない」と言われているのに、まだやっている人が多いですよね。
何より減量に詳しいパーソナルトレーナーや生理学・内科に詳しいはずの医師、理学療法士にも糖質制限を勧めている人がいるのはとても残念に思います。
確かに糖質制限をすれば体重自体は減少しますが、筋肉量が低下し「痩せた」というよりも「やつれた」に近い状態になります。
またリバウンドもしやすく、健康リスクも高い方法になります。
糖質制限に関しては別の記事で詳しく取り上げたいと思いますが、英国栄養士協会の見解では「栄養士指導の元しっかりとした方法で行えば、てんかんの治療に効果的だが健康な人が行うと思考のぼやけ、判断能力の低下、運動障害、睡眠障害、無気力、吐き気、消化不良など様々なリスクがあり、短期的には体重が減っても長期的に見ると健康を害する」とされています。
私自身もパーソナルトレーナー時代にお客様に糖質制限を勧めたことはないです。
●ピオッピダイエット
次はピオッピダイエットです。
これは日本ではあまり聞き慣れないダイエットですね。
ピオッピダイエットとはダイエットに良いとされている地中海式の食事近いものに糖質制限を組み合わせたもので、高脂質食+低糖質食のダイエットです。
これは脂質過多と糖質不足で単純に栄養が偏ってしまいます。
確かに地中海式の食事は良いとされていますが、それはバランスが良いためです。
そのバランスをわざわざ崩すという事にメリットはありません。
●ケイティプライスダイエット
2018年最後のやってはいけないダイエットはケイティプライスダイエットです。
これも日本ではあまり聞かないダイエットですね。
これは低脂質;低カロリーの食事を行うひと昔前の「ザ・典型的ダイエット」にカルニチンという脂肪燃焼を促進する成分が多く含まれたドリンクを飲むといったダイエット方法です。
これも単純に栄養バランスが偏ってしまいます。
確かにカルニチンには脂肪燃焼効果がありますが、それは他の栄養素があって初めて効果を発揮するものです。
また生理学的にカルニチンが脂肪燃焼の際に働くことは分かっていますが、カルニチンを大量に摂取すればそれだけ脂肪燃焼が行われる科学的根拠はないため、行うべきダイエットではありません。
◆2019年のやってはいけないダイエット
さて、次は2019年に発表された【やってはいけないダイエット】5つです。
それは以下の通りです。
・血液型ダイエット
・飲尿法ダイエット
・アルカリ水ダイエット
・デトックス茶・痩身コーヒーダイエット
・スリミング小袋サプリダイエット
の5つです。
こちらも1つずつ解説していきましょう。
●血液型ダイエット
これは日本でも少し話題になりましたね。
「血液型によって痩せる食材が違うため、自分の血液型にあったものを食べましょう」と言った事を宣伝していました。
しかし、これは科学的根拠が皆無です。
そもそも血液型でダイエット方法は変わらないですし、痩せたというのかあれこれ制限をつけ結局のところ食事制限や食事バランスが整ったからです。
まともに考えれば生活習慣、性別、遺伝子、食習慣、筋肉量など無数に個体差があるのに4つの血液型で全てグループ分けしようとするのは無理な話です。
●飲尿ダイエット
これはしている人はいないと思いますが、2019年にイギリスでは流行ったそうです。
当たり前ですが、尿は老廃物のためダイエット効果はありません。
むしろ健康を害する可能性があリます。
尿を飲むのは無人島などで飲み水がなくなった極限状態の時だけで良いでしょう・・・
●アルカリ水ダイエット
これは先ほど紹介した2018年のやってはいけないダイエットの中にもあった、アルカリダイエットと同じですが、今度はアルカリ水になっていますね。
おそらくイギリスではアルカリダイエットが流行って「アルカリの食べ物を食べなくてもアルカリ水でダイエット!!と言ったことがあったんでしょう。
2年連続で選ばれていますが、先ほども説明した通りアルカリ性の食材・水自体にダイエット効果はありません。
英国栄養士協会も「水を飲むことは身体に良いが、アルカリ水に効果はない」「なぜ蛇口をひねれば水が飲めるのにわざわざ高いお金を払って意味のないものを飲むのか」と言及しています。
●デトックス茶・痩身コーヒー
これは「飲むだけで痩せるお茶・コーヒー」を飲むダイエット方法ですね。
日本でも脂肪の吸収を抑えるなどと宣伝している商品がありますが、似たようなものと考えてください。
これは「痩せる!」と宣伝してはいますが、科学的根拠がないハーブが入っているだけで効果のないものであると英国栄養士協会は言っています。
またハーブなどは人によっては毒となり健康を害する可能性があるため、オススメはしないとも言っています。
●スリミング小袋サプリダイエット
これはダイエットサプリで「スリミング(痩身)小袋サプリ」と言うものが爆発的にイギリスで流行ったそうです。
流行った理由はイギリスの王室の人間がダイエットトレーナーが作ったこのサプリを飲んで痩せたと発信したからだそうですが、恐らく裏で大きなお金が動いていたのではないかと考えます。
日本で言うダイエットジムの宣伝に有名人を使うのと同じですね。
もちろん王室の方なのでその影響力凄まじいものだったでしょう。
しかし、このような奇跡的な効果を売りにしたダイエットサプリは効果がないものがほとんどです。
またイギリスだけではなく、日本でも同じようなことが起きています。
日本では有名人やインフルエンサーなどがSNSでオススメのサプリや商品を宣伝しています。
特に今は芸能人でなくても人気の方が多く、むしろそのような人達のファンの方がコアな方が多いため、無条件にそのインフルエンサーの方に憧れてしまうことが多い気がします。
そして、そのインフルエンサーがターゲットにしているのは若い世代の方のためダイエットが必要のない方がその人に憧れ無理にダイエットしたりすると健康被害が出てしまう可能性があります。
もちろんジムでのトレーニング同じように流行っているため健康的に運動した結果スリムな体を手にすることはとても良いことですが、無理な食事制限や宣伝しているサプリを飲むなどは控えた方がいいです。
◆まとめ
今回は英国栄養士協会が【やってはいけないダイエット】と注意喚起しているダイエット 方法5選を2年分の計10個紹介しました。
日本では聞き慣れないダイエット方法もありましたが、注目されるためにインパクトのあるだけの間違ったダイエット方法は次々出てきます。
大切なのはそのダイエットが本当に正しいものかどうかを判断できる知識をつけることです。
まずは「流行っているから」「テレビで言っているから」と思わずに、しっかりと判断してダイエットしましょう。
もちろん、自分で色々と試してみることも大切ですが、身体に合わないと感じた時はすぐにやめましょう。
本日も記事を読んでいただきありがとうございました。
また次回の記事でお会いしましょう。
【プロテイン】VS【EAA】VS【BCAA】
こんにちは、いきなりアルファベットだらけのタイトルになってしまいましたが、あなたはトレーニングの効果を上げるために何かサプリメントを飲んでいますか?
数年前であれば「筋トレにはプロテインだ!」と言われていて、トレーニングするならとりあえずプロテインを買っていれば良い様な風潮でしたが、空前のフィットネスブームの現在は様々なサプリメントが出てきています。
特にトレーニング系でよく見かけるのは【プロテイン】【EAA】【BCAA】の3つではないでしょうか?
ネットで調べてみても「筋トレにはプロテイン」「科学的にはEAAが効果的」「筋肥大にはBCAA」など意見がバラバラでトレーニング初心者であれば何を選んだら良いのか分からないですよね。
今回はそんな【プロテイン】【EAA】【BCAA】の効果と何を選ぶべきかを比較して紹介したいと思います。
ちなみにEAAとは何か?や効果などについてはこちらの記事も参考にしてみてください。
◆そもそもこの3つは何が違うの?
今回【プロテイン】【EAA】【BCAA】を比較するにあたって、まず前提として知っておいて欲しい事がこれらは全て「タンパク質のサプリメント」という事です。
トレーニングの効果を高めて筋肥大や筋力強化を向上させるには、筋肉の原料であるタンパク質をしっかりと摂取する必要があります。
今回の3つもそのタンパク質を摂取するためのサプリメントのため、ネットで出てくる「筋トレには○○!!」にどれが入っても間違いではないのです。
ですが、やはり多くのネットで出てくるサプリメントの紹介記事ではサイトから商品を買ってもらいたいので自身が紹介している商品の宣伝のため1つの商品の効果を細かく書いていて、まだあまり知識のない方は「こっちのサイトではBCAAが良いって書いてあるけど、こっちではEAAが良いって書いてあってよく分からない」といった事が起きてしまいます。
特に大手のサプリメント会社のサイトだと購入に繋げる必要があるため、真偽を疑ってしまいますよね。
しかし、この3つの違いはとても簡単です。
調べると色々効果が書いてありますが、単純にこの3つは「含まれているアミノ酸の種類が違う」だけです。
タンパク質はアミノ酸の集合体なのですが、BCAAやEAAは特定のアミノ酸だけが含まれているだけなのです。
では、その含まれているアミノ酸の種類が違うと身体にどんな効果があるのでしょう?
1つずつメリットとデメリットを解説していきます。
◆プロテインのメリット
トレーニングをしていない人でも「筋トレと言えばプロテイン」といったイメージがある王道であるプロテイン
プロテインはそのまま「タンパク質」の直訳ですがプロテインを飲む事でどんな効果があるのでしょう?
これは言うまでもなくもちろん「筋肥大効果増大」「筋力強化」「傷ついた筋繊維の回復が早くなる」など様々な効果があります。
実際にプロテインに関しては多くの研究がされており。
例えば2015年に発表されたこの研究ではプロテインは筋肥大や筋力強化を加速させ、有酸素運動、無酸素運動の能力を向上させると言われています。
また2014年に出されたこちらの研究では「プロテインは筋損傷や筋肉痛を軽減する」と言われています。
しかし、これは「日常的にタンパク質を補給している人」に限った効果であり、1日だけ飲むなど短期間だけの摂取では効果は出なかったそうです。
更に研究自体はレビュー論文なのですが、参考記事が27件と少なく同じレビューの中でもエビデンスレベルは低いため更なる追加研究が必要かなと考えます。
それでも効果がある事は他の研究でも明らかなのである程度信用性はあると思います。
プロテインについての研究は多すぎるため、この辺にしておきますがやはりプロテインにはかなりのメリットがありそうですね。
◆プロテインのデメリット
かなり素晴らしい効果があったプロテインですが、逆にデメリットはどういったものでしょうか?
まずプロテインのデメリットとして良く聞くのは「肝臓」「腎臓」への負担ではないでしょうか?
確かにプロテインはタンパク質(アミノ酸)なため代謝や濾過される際に肝臓、腎臓を通る必要があります。
そのため「プロテインを飲みすぎると腎臓を壊す」など言われている訳ですが、これが起こるのはプロテインを過剰摂取しすぎた時だけです。
スマホのメモリや自分の体力など物事には何事にも容量というものがあります。
人間の内臓も同じで栄養素を代謝できる容量があるのです。
個人差がありますが、肝臓であれば一度に代謝できるタンパク質の量は30g前後です。
これ以上のタンパク質を一度に摂取しても、体外に排出されてしまいます。
そうなれば当然肝臓に負担がかかってしまいますし、体外に排出する際に腎臓で濾過されるため腎臓にも負担がかかります。
逆に言えば、適切な量を摂取していれば肝臓や腎臓に問題は起こりません。
また多少過剰に摂取したところで正常な肝臓と腎臓であれば問題なく代謝されるため、腎機能不全などを起こす可能性は低いため安心してください。
それでも一度に40gのタンパク質を摂取した時と20g摂取したときの血中アミノ酸濃度や筋肥大に変わりはなかったといった実験結果もあるため過剰摂取は単純に無駄なので控えた方がいいでしょう。
ただし、元々腎臓に問題がある人などはプロテインを飲む事で腎機能に異常をきたす可能性があるため医師に相談した上で飲むかどうかの判断をしましょう。
ちなみに「プロテインを飲むと体臭がキツくなる」とも言われていますが、これも過剰摂取による影響とプロテインでお腹がいっぱいになり食事を抜いてしまい野菜を食べる量が減ってしまう事が原因のためしっかりとバランスを考えれば大丈夫です。
ここまででプロテインにはかなりメリットが大きく、過剰摂取さえしなければデメリットはほとんどないと分かりました。
では次は最近注目を浴びているEAAについての解説です。
◆EAAのメリット
まずEAA とは Essential Amino Acidの略で「必須アミノ酸」の事です。
人間の体を構成するアミノ酸は全部で20種類あ理、11種類は体内で合成されるため必ずしも食事で取る必要のない非必須アミノ酸なのですが、残りの9種類は体内で合成できないため体外から摂取する必要がある必須アミノ酸と呼ばれています。
プロテインはこの20種類全て配合されているのですが、EAAは9種類の必須アミノ酸だけを集めたものになります。
そんなEAAの一番のメリットはなんと言っても「必須アミノ酸の濃度が高い」という事です。
人間の身体を構成する上で絶対に必要な必須アミノ酸のみを集めているため、筋合成をする上で重要なものになります。
EAAについても様々な研究があるのですが、EAAを摂取する事で「筋合成促進」や「筋肥大促進」などの効果がある事が分かっています。
EAAについては効果をまとめた記事があるため、興味があれば読んでください。
プロテインは20種類全てのアミノ酸が含まれているためバランスはとても良いですが、その分アミノ酸1つ1つの分量が少なくなってしまいます。
もちろん筋肉には20種類全てのアミノ酸が必要ですが、食事をしっかりとっていれば11種類は体内で合成されるため、体外から摂取する必要のある9種類を重点的に取る方が効率的です。
また「18gのEAAのみ摂取したグループ」と「18gのEAAと22gの非必須アミノ酸を摂取したグループ」では筋合成が変わらなかったことからEAAが筋肉の成長に深く関与していることが考えられます。
つまりバランス良くアミノ酸を摂取するならプロテイン、必須アミノ酸のみを摂取したいならEAAということになります。
どちらを選ぶかはその人の栄養状態次第ですが、お金に余裕があるならプロテインとEAAを組み合わせるのが良いでしょう。
◆EAAのデメリット
EAAのデメリットですが、やはり1番はプロテインと同じ過剰摂取が問題になります。
理由はプロテインと同じで、過剰摂取になることで肝臓、腎臓に負担がかかります。
またもう1つのデメリットとして「アスリートやハードなトレーニングをする人は非必須アミノ酸も必要になる」という事が挙げられます。
こちらの論文ではアスリートなどの高強度な運動をする人は運動中に体内の必須アミノ酸が枯渇してしまうため、非必須アミノ酸によって筋合成や回復が行われると結述べられています。
しかし、その他の研究では「プロテインとEAAでは筋合成に違いはなかったため、筋合成はEAAの影響とされる。」
というものもあるためどちらか1つ選ぶ場合「アスリートやハードトレーニングをする人はプロテイン」「普通のトレーニングの場合はどっちでも良いが、EAAが筋合成に関与している可能性が高い」という事を念頭に置いて考えてみてください。
◆BCAAのメリット
最後はBCAAです。
BCAAとはBranched Chain Amino Acidの略で「 分岐鎖アミノ酸」の事です。
分岐鎖アミノ酸とは9種類ある必須アミノ酸の中の「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」の3つの事を言います。
BCAAは少し前にトレーニーの間で注目され今も飲んでいる方は多いサプリメントです。
何故、この3種類かというと筋肉が合成にされる時にこの3種類が深く関わっているからです。
特にロイシンは筋肉の合成に重要なものです。
BCAAの効果としては主に「筋合成の促進」と「疲労回復」を謳っているものが多いです。
実際に筋力強化の効果があるとされる研究やBCAAを飲む事で筋肉痛が大幅に軽減したという研究結果が出ています。
最近ではロイシンが筋肥大を促すとされているため、ロイシンの比率を多くしたBCAAやロイシンが多いが売りのHMBなどが販売されていて、とても効果があるように感じます。
更に先ほどの研究はどちらもレビュー論文なので少し論文のエビデンスレベルを知っている人は「レビュー論文で言っているんだから間違いない!!」と思うかも知れません。
もちろん間違っている訳ではないのですが、気をつけないといけない点があります。
それを次のデメリットでお話ししましょう。
◆BCAAのデメリット
BCAAのデメリットは何なのか
それは「効果が薄い」という事です。
「え、レビュー論文で証明されたんじゃないの?」と思うかも知れませんが、実はBCAAの研究はほとんどが「BCAAを補給したグループ」と「補給しなかったグループ・プラセボ群」なのです。
これの何が問題かというとBCAAはアミノ酸のため筋肉の材料です。
それを補給するグループと補給しないグループでは補給した方が効果が出るのは当たり前です。
それなのにBCAAを勧めているサイトのほとんどは「BCAAを飲んで筋肥大したという結果が出ています!」「なのでこの商品を買いましょう!」といった言い方をしています。
しっかりと効果を謳いたいのであればプロテインやEAAなどその他のサプリメントを飲んだグループと比較させるべきです。
そしてそれを行なってくれていた研究がありました。
この研究は2017年に発表されたもので5.6gのBCAAをウエイトトレーニングに飲むグループと飲まないグループに分けて比較した結果、飲んだグループは飲まないグループよりも22%も多く筋合成されたとされています。
しかし、実はホエイプロテインを飲んだグループとも比較されており、BCAAグループではプロテイングループの半分以下の筋合成だったという結果になっています。
つまり、何も飲まないよりは22%筋合成されるがそれでもプロテインの半分にも満たない効果だったという事です。
更に他の研究ではBCAAは筋肉の分解(カタボリック)状態の時に筋分解を抑制する効果をみた実験では、BCAAを摂取しても筋の分解は抑制されず筋肉を分解しBCAA以外の必須アミノ酸を新生していたといった結果が出ています。
これらの研究結果からBCAAは何も飲まないよりは効果は期待できるが、EAAやプロテインに効果は遠く及ばないと考えられます。
この理由としては前回の記事で紹介した【アミノ酸の桶理論】を考えれば当たり前の事です。
●BCAA研究の闇の一例
少し話が逸れますがBCAAに関してはこんなお話があります。
誰でも聞いたことのある大手の会社が研究者にお金を渡して「BCAAを売りたいから、効果があるという研究結果を出してくれ」と依頼しました。
しかし、どうしても思うような結果が出なかったそうです。
そのため、その会社はBCAAを大きく売り出すことはしなかったそうです。
「でも結果が出なかった事を言わないのは何故?」
これはそこの会社だけではなくサプリのメーカーや販売者全てに言える事ですが、彼らは商品を売りたいためプラスの面は宣伝してもマイナス面はなかった事にします。
まぁ当然と言えば当然ですよね。
また会社に関係ない研究者たちも効果が出なかった事を発表しない理由としては、「研究にはお金が必要なため今後も研究を続けていく資金を貰えなくなるのは困るから」「会社が大手なため睨まれると簡単に潰されるから」といった理由が考えられます。
これは日本だけでなくどこの国でも行われている事です。
そのため論文だから、研究だからと全て信じてしまうことはとても危険です。
どれだけエビデンスレベルが高くてもまずは疑う事が必要でしょう。
◆まとめ
長くなってしまいましたが、今回のまとめに入ります。
今回の要点としては
・筋肥大に関してはEAAだけでも良い。
・ハードな運動をするなら非必須アミノ酸が入っているプロテイン
・どちらも過剰摂取はNG
・BCAAは効果があるものの他2つには劣る。
・BCAAを取るなら他のアミノ酸の土台を作ってから
こんな感じでしょうか。
僕の中のイメージとしてはこんな感じです。
↓↓↓↓↓↓↓↓
まずはしっかりと5大栄養素(糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル)の土台を作ってからサプリメントを飲む事でトレーニングの効果が期待できます。
(タンパク質の土台はプロテインの事です。)
今回の記事はいかがだったでしょうか?
ややこしい【プロテイン】【EAA】【BCAA】について少し理解を深めて頂けていたら幸いです。
本日も記事を読んでいただきありがとうございました。
また次回の記事でお会いしましょう。
必須アミノ酸EAAって筋トレに本当に効果があるの?
こんにちは、今日は最近流行りのサプリメント【EAA】についてのお話です。
トレーニングを行なっている人は聞いた事がある方が多いのではないでしょうか?
少し前はトレーニングに組み合わせるサプリメントはプロテイン+BCAA(分岐鎖アミノ酸)や、プロテイン+グルタミン酸が主流でした。
トレーニングを行なっている人にはすでに常識かも知れませんが、今日は「トレーニングを始めてサプリメントを考えているけど何が良いか悩んでいる」「EAAって気になるけどよくわからない」という人にEAAについて解説していきます。
◆EAAとは必須アミノ酸のこと
まずEAAとは何の略なのか。
EAAは正式にはEssential Amino Acidsと言い、Essential(不可欠・重要) Amino(アミノ) Acids(酸)といった意味です。
タンパク質はアミノ酸が集まって出来たものなのですが、そのアミノ酸には20種類あ利、大きく2つに分ける事ができます。
まずは必須アミノ酸です。
これは人間が体内で合成出来ないため、食事などから摂取する必要があり9種類あります。
これがEAAです。
必須アミノ酸には以下の種類があります。
「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」「トリプトファン」「フェニルアラニン」「リジン」「スレオニン」「メチオニン」「ヒスチジン」
そしてもう一つは非必須アミノ酸です。
これは11種類あり、人間が体の中で合成できるため必ずしも食事から摂取する必要はありません。
非必須アミノ酸はNEAA(NonEssential Amino Acids)と言います。
こちらはあまり聞く事のない言葉ですね。
非必須アミノ酸は以下の種類です。
「アスパラギン」「アスパラギン酸」「グルタミン」「グルタミン酸」「システイン」「アルギニン」「アラニン」「ブロリン」「グリシン」「チロシン」「セリン」
つまりEAAとは「人間に必要だけど、体内で合成できないアミノ酸9種類を取れるサプリ」という事です。
◆必須アミノ酸は何故トレーニングに効果的なのか?
EAAが何か分かったし、必須アミノ酸はその名の通り「必須」だから何となく身体に必要なのも分かった。
けど「必須だから」じゃなく、トレーニングに必要な明確な理由は何なのでしょう?
それには【アミノ酸スコア】と【アミノ酸の桶理論】を知る必要があります。
■アミノ酸スコア
アミノ酸スコアとは簡単に言うと「必須アミノ酸がどれだけバランスよくその食品に含まれているか」を示す数値のことです。
最高はアミノ酸スコア100で必須アミノ酸がとてもバランス良く含まれています。
このアミノ酸スコアはどの食品、食材にも存在しています。
例えばアミノ酸スコア100の食品は「鶏肉」「牛肉」「豚肉」「カツオ」「鮭」「ホタテ」「牛乳」「卵」などです。
私たちが主食にしている白米はアミノ酸スコア61程度になっています。
「え、じゃあアミノ酸スコア100のものばかり食べてたら筋肉つくじゃん」と思うかも知れませんが、そうなると他の栄養バランスが偏ってしまい逆効果です。
アミノ酸がしっかりと代謝されるには糖質やビタミン、ミネラルが必要です。
大切なのは「食事の内容でしっかりと必須アミノ酸を補えているか」です。
先ほど白米はアミノ酸スコア61程度と言いましたが、白米には必須アミノ酸であるリジンが足りません。
しかし、納豆や煮豆などリジンの多いものと一緒に食べるとアミノ酸スコアは100になります。
またいくらアミノ酸スコアが100だとしても、食べる量が少なければその分摂取できるアミノ酸は少なくなります。
10の若い人なら別ですが、お肉を大量に食べるのは胃がもたれてしまいますよね。
この様にしてバランスを取れた食事をすることで健康にも筋肉にも良い効果を発揮します。
■アミノ酸の桶理論とは
アミノ酸を考える上でもう一つ必要なのは【アミノ酸の桶理論】です。
桶理論とは例えば必須アミノ酸の内8種類がスコアが100で1つだけが60だとします。
そうなるとアミノ酸はスコアの少ない60のアミノ酸にバランスを合わせてしまい、余った8種類の40は使われる事がないのです。
9種類のアミノ酸の板でできた桶の一つに穴が空いていたら、いくら他が頑丈でもそこから水がこぼれるのと同じイメージですね。
そうなると筋肉や代謝にアミノ酸を効率良く使えず、無駄に肝臓や腎臓に負担をかけてしまうだけです。
こうならないためにアミノ酸スコアは100に近いものの方がいいのです。
この【アミノ酸スコア】と【アミノ酸の桶理論】をしっかりと押さえているのでがEAAということです。
◆EAAについての研究
今までの話からEAAはアミノ酸スコアや桶理論を押さえ効果が期待できる感じがしてきたと思います。
では実際に行われている研究ではどんな成果が出ているのでしょうか。
国際スポーツ栄養協会では「筋合成を促すには適切なタンパク質摂取が必要、その中でも筋合成に最も適切なのは必須アミノ酸(EAA)である」「必須アミノ酸を一定の間隔で摂取することで運動の効果を最適化する事ができる」といった論文が発表されています。
またEAAは日常的に運動している人以外にも効果があります。
例えばこの研究では高齢者に対しEAAを補給をするグループ、しないグループに分けてその後の経過を追いました。
結果はEAAを補給したグループで筋合成が急激に促進されました。
出典:Effect of Aerobic Exercise Training and Essential Amino Acid Supplementation for 24 Weeks on Physical Function, Body Composition, and Muscle Metabolism in Healthy, Independent Older Adults: A Randomized Clinical Trial
つまり年齢に関係なく必須アミノ酸(EAA)は筋合成に効果的だという事です。
また国際スポーツ栄養協会ではEAAは効果があるサプリメントだと証明されてい流ため、信頼性が高いサプリメントだと考えます。
◆アスリートやトレーニーには非必須アミノ酸も必要
ここまでEAAの必要性をお話ししてきましたが、最後にこんな研究を紹介します。
Nutritionally non-essential amino acids are dispensable for whole-body protein synthesis after exercise in endurance athletes with an adequate essential amino acid intaketという研究なのです。
簡単に要約するとアスリートやハードなトレーニングを行う人は必須アミノ酸がであるEAA不可欠だが、運動中に必須アミノ酸が枯渇すると筋肉の回復に非必須アミノ酸(NEAA)が使用される。という事です。
つまり、アスリートやトレーニーはEAAを十分に補給し枯渇させない事が重要ですが、枯渇したときのためにEAAだけでなくNEAAも必要になるためサプリメントはEAAだけでなく、NEAAも入っているプロテインも必要だという事です。
◆まとめ
最後にまとめとしては以下の通りとなります。
・EAAはアミノ酸スコア、桶理論を抑えており効率良くタンパク質を摂取できる。
・EAAは科学的に見ても効果があると考えて良い
・特にアスリートやトレーニーにはオススメのサプリメントだが、まずはプロテインで全体的なアミノ酸摂取が重要
・ハードなトレーニングをしない人はプロテインよりもEAAの方が良いかも
今回の記事のまとめはこの様な感じですね。
EAAについては今後も徐々に新たな研究結果ができてきそうです。
しかし、おそらく海外のものになるため(日本ではトレーニング系の研究はお金にならないためあまり行われない)研究内容をしっかりと精査した上でお届けしたいと思います。
今回も記事を読んで頂きありがとうございます。
また次回の記事でお会いしましょう。
睡眠不足だと筋肉は付かない?筋トレの効率を良くするためには
トレーニングを始めるときにジムに行ってから「よし、今日も頑張るぞ!」と気持ちを高めてトレーニングを行う人は多いと思います。
ジムに来たらテンションが上がり、頑張るぞという気持ちになるのはとても良い事です。
しかし、実はトレーニングはジムに行ってから始まるものではないのです。
トレーニングはジムに行く前、もっと言うと前日の睡眠からすでに勝負は始まっています。
◆寝不足なだけでトレーニング効果は減少する!?
2012年にイギリスに行われた研究では、被験者を2つのグループに分けてこんな実験をしました。
グループAは8時間以上の睡眠を取ってもらう。グループBには睡眠不足の状態を作るため睡眠時間を6時間未満とし、ベンチプレスやスクワットなどのトレーニングを行なってもらった。
重量は1RMの85%に設定され、最大反復回数のレップ数を4セット行った。
その結果、しっかり寝たグループAに対し、睡眠不足のグループBで全てのトレーニングで総負荷量が低下しました。
面白いことにそれはグループAとBの睡眠時間を入れ替えると同じ様に睡眠不足のグループの総負荷が低下しました。
この結果から【睡眠不足はトレーニングに大きな影響を与える】事がわかります。
ですが、この結果はベンチプレスやスクワットなどフリーウエイトで良く行う、多関節運動に見られる減少でした。
多関節運動では睡眠不足による影響は大きかったですが、単関節運動ではどうでしょう?
2018年に発表されたレビュー論文では睡眠不足によって多関節運動時の筋力発揮が低下する。
しかし、単関節運動では有意な筋力低下は見られなかったと結論付けられてます。
私自身パーソナルトレーナーとして運動指導していた時や現在総合病院でリハビリテーションを患者様に行う際に「昨日は良く眠れましたか?」と毎回聞いています。
特に入院されている方であれば、普段と環境が違うためあまり寝れていない人が多いです。
そういった場合、筋トレメインでリハビリを行う方には運動内容に単関節運動をよく取り入れたりするなど効率良く効果を出せるよう工夫をしています。
少し話がそれましたが、ではなぜ睡眠不足になると多関節運動では筋力が低下したのに対し、単関節運動ではあまり影響がなかったのでしょうか?
それは「糖質代謝」と「タンパク質代謝」に変化が要因の1つです。
◆睡眠不足は代謝に影響
睡眠不足がトレーニングに影響する理由としてまず「糖質の代謝」が考えられます。
トレーニングを行う際、私たちの身体はいつも以上にエネルギーを消費します。
そのため、身体のどこかからエネルギーを持って来る必要があります。
それが筋グリコーゲンと呼ばれるものです。
筋グリコーゲンとは食事などで脳の働きや基礎代謝のために必要な糖質(ブドウ糖)を使った後、余ったものをいつでもエネルギーとして使える様に筋肉の中に貯蔵した糖質(ブドウ糖)です。
これがトレーニング時に筋肉を収縮させ、強い力を発揮させるためのエネルギーになります。
特にランニングなどの有酸素運動と違いフリーウエイトなどの高強度の運動ではこの筋グリコーゲンがとても重要になります。
しかし、睡眠不足はこの筋グリコーゲンの代謝を減少させる事分かっています。
例えばChristian Benedict博士は「睡眠不足になればインスリン感受性が20%低下する」と論文を発表しています。
インスリンは血中のブドウ糖を筋肉に送る役割があるため、インスリンがよく働くと筋肉はエネルギー源が多くなり、より筋力を発揮できます。
ですが、睡眠不足でインスリン感受性が20%低下すると言う事は単純に筋肉に送り込まれるエネルギー源がその分カットされると言う事です。
また2011年にオーストラリアで行われた実験では、通常の睡眠時間と睡眠不足のアスリートに対して筋グリコーゲンの量を調べられました。
その結果、睡眠不足のアスリートで有意に筋グリコーゲン量が減少していた事がわかりました。
更にインスリン感受性とは逆でインスリンの働きを悪くする事を「インスリン抵抗性」と言います。
睡眠不足の時はこのインスリン抵抗性が有意に増加する(インスリンが働きにくくなる)と2017年にイギリスの大学から発表されました。
ただでさえ睡眠不足になるとインスリン感受性が20%も低下する事が分かっているのに、その上インスリンの抵抗性まで増加するとなるとトレーニングの効果が格段に落ちてしまう事がわかります。
●睡眠不足はタンパク質代謝にも影響
睡眠不足はタンパク質の代謝に影響します。
タンパク質の代謝に影響すると言うことは、筋合成の低下に直結します。
2011年に発表された研究では睡眠不足によってストレスホルモンであるコルチゾールが増加し、テストステロンが有意に低下した。
その結果、タンパク質合成回路の働きを減少させ、タンパク質分解回路を活性化させたと分かっています。
またResistance exercise: a non-pharmacological strategy to minimize or reverse sleep deprivation-induced muscle atrophy という他の研究でも睡眠不足によってテストステロン、成長ホルモン、インスリン様成長因子が低下し、高度な筋分解が起こる事が分かっています。
●筋肉の回復は?
睡眠不足になると筋肉の分解や萎縮が進みやすい事が分かって頂けたかと思います。
では、トレーニングをした後で睡眠不足になるとどうなるのでしょう。
2020年にこんな論文が発表されています。
10人の男性に筋トレを行なってもらい、等速性筋収縮の試験と血液サンプルを摂取しました。
結果は睡眠不足のグループでホルモンの異常と炎症反応が強い事がわかりました。
しかし、等速性筋収縮には差がなかったそうです。
つまり、この研究だけで言うと睡眠不足では先ほど述べたホルモン反応の異常(低下)による筋合成の減少に加え、炎症反応が強いため筋肉痛が長引く可能性が示唆されていますが、筋肉の回復速度は特に遅くならなかったと言えます。
ただこの実験はランダム比較試験のためそこそこ信頼性はあるものの被験者が10人と少ないため、「そうなんだ」レベルで考えておくと良いでしょう。
◆睡眠不足は感情の抑制も効かなくなる。
睡眠不足は筋肉に悪影響でトレーニングの効率が悪くなるというお話をずっとしてきましたが、トレーニングに慣れた人であればボディビルダーやフィジークの選手の様にストイックにする必要がないため1回や2回効率が悪くなってもそこまで影響はないと思います。
(それでも折角やるなら効果を最大限にしたいですが)
しかし、ダイエットやトレーニングを始めたばかりの人は睡眠不足に特に注意して頂きたいのです。
睡眠不足は感情の抑制が弱くなる、つまり意志力が低下してしまうのです。
睡眠不足と感情 については様々な研究がされていますが、例えば2014年に発表されたレビュー論文では睡眠不足になると感情的な行動が増加してしまうと言われています。
また睡眠不足になると甘いものを我慢できなかったり、やろうと思っていた事を後回しにしてしまう傾向になりやすいです。
ただでさえ、運動を始めたばかりはジムに行く事自体に決心がいるのに、そのための意志力が低いと継続する事ができず「やっぱり自分には運動は向いていないんだ」と諦めてしまいます。
そうならないためにも、睡眠不足には充分気をつけましょう。
◆効率良くトレーニングするために
今回は睡眠不足とトレーニングについての関係性をお話ししてきました。
睡眠不足になるとトレーニングの効率が下がってしまうため、なるべくしっかりと睡眠を取る事を意識しましょう。
それでも仕事が忙しく、睡眠不足になる事もあると思います。
その時はいつものフリーウエイトでの多関節運動ではなく、マシンやダンベルなどで単関節運動を行う事で効果的にトレーニングを行えます。
また睡眠不足自体になると筋分解が促進されますが、2015年の研究で「トレーニングを行うと筋分解・筋萎縮を軽減できる」とされています。
睡眠不足による筋量軽減はなしには出来ませんが、トレーニングによって軽減はできる様なので睡眠不足でもトレーニングする意味はありそうです。
(もちろん体調に合わせて、疲労が溜まっているなら休んでくださいね。)
更に睡眠不足はトレーニング以外にも
・ダイエット
・感情の抑制
・仕事、勉強の効率化
・記憶力など
様々なことに影響を与えます。
睡眠に関してはまた他の記事でも書かせて頂きますが、ダイエットに関してはこちらの記事に書いてあるため時間があれば読んで頂きたいです。
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今回も記事を読んで頂きありがとうございます。
睡眠不足になるだけで大幅にトレーニングの効果が減少する事が分かっていただけたかと思います。
折角頑張ってトレーニングするなら効率的に行なって理想の体を手に入れて頂きたいですし、睡眠不足になると脳の働きも低下するため仕事などにも影響が出てしまいます。
可能であれば毎日しっかりと睡眠時間を確保しましょう。
ではまた次回の記事でお会いしましょう。
間違った医学【塩分と高血圧】
「塩分を取りすぎると高血圧になる!」「出来るだけ、薄味の方が健康的で長生きできる」などと言った言葉を耳にした事はありませんか?
実際に高血圧の方が病院に行くと医者から「あなたは血圧が高いから塩分を減らして下さい」と指示されます。
病院内の食事でも高血圧の方は塩分をコントロールされており、厳しく血圧を管理されています。
しかし、「高血圧の因子と塩分摂取量の間にはほとんど因果関係がない」と言ったら皆さん信じるでしょうか?
私は普段はダイエットやトレーニングについて情報を発信していますが、今日は現在の本職である医療の分野から間違った医療常識をお話ししていきます。
◆塩分で血圧が上がるメカニズム
何故「塩分=血圧上昇」と多くの方が思っているのでしょう?
要因の一つに塩分と血圧変動のメカニズムが関係しています。
人間の身体は60〜70%が水分で出来ています。
その水分はミネラルが溶けており、ある一定の濃度を保っています。
これを浸透圧と言います。
塩分もミネラルの一種のナトリウムであり、塩分を大量に摂取する事で浸透圧が変化し、体内の塩分濃度が濃くなります。
そのままだと身体に異常をきたしてしまう為、身体は「体内の濃度を戻すために水分を取れ」と脳に命令し、身体は口渇感を感じ水分を摂取します。
水分を摂取した事で浸透圧は正常に戻りましたが、水分を摂取したため体内の水分量が多くなってしまいました。
体内の水分量が多いと言うことは、溜まった水分を排出するために腎臓に血液を大量に送り、尿として体外に出す必要があります。
そこで心臓は普段以上に頑張って血流を送り出します。
心臓が頑張って血流を送り出すため、血管の圧が高くなり血圧が上がってしまいます。
とてもザックリとした簡単な説明ですが、これが塩分を摂ると血圧が上昇するメカニズムです。
この浸透圧はむくみや熱中症とも関わりがあるのですが、それはまた別の記事で
このメカニズムが塩分を摂ると高血圧になると勘違いされてきた要因の一つです。
「いや待って、体内の濃度を調節するために血圧を上げて尿を出すなら、尿が出た後は血圧が正常に戻るんじゃないの?」と思った方がいるかも知れません。
実はそうなんです。
基本的に正常な肝臓と腎臓が健康であれば、多少塩分を摂った所で血圧は維持されます。
しかし、メディアなどは「塩分を摂りすぎると高血圧になります!」とよく言っています。
それは人の恐怖心を煽って自分達の番組や商品の宣伝に目を向けさせるためでしょう。
人間は恐怖心を煽られると購買意欲が高まるため、利益を上げる方法としての常套手段と言えます。
また私も医療従事者のため大きな声では言えませんが病院も同じです。
病院の利益は薬剤が占める割合が大きいため、薬を売りたがります。
実は力関係としては「病院<製薬会社」といった構図の所がほとんどです
そのため、「高血圧なんで塩分を控えて下さい。お薬出しておきますね。」と言われ、医者に言われれば「そうなんだ」と納得せざるを得ません。
確かに高血圧であることは間違いなのでしょうが、薬が必要ない人も多いのも事実です。
◆塩分摂取量が多い=高血圧の研究
塩分を摂ると一時的に血圧が高くなることは分かったけど、そもそも医学ってそんな簡単に考えているの?
と思った方もいるでしょう。
確かに浸透圧の関係だけが理由でここまで「塩分をカットして!」とはなりません。
減塩が唱えられ始めた理由としては1940年代にアメリカのある医師が減塩による食事療法を唱えたからと言う理由やその他の研究で高血圧の人を対象に減塩すると血圧低下が見られたなどという研究がされていると言ったものがあります。
しかし、これには大きな罠が仕掛けられているです。
それが「疫学」です。
疫学は地域や国などを限定して、年齢・食生活・性別、生活習慣・運動歴など違いによって、病気の発生率にどう影響があるのかを調べ、統計的に疾病の発症原因を考えるものです。
別に赤ワイン自体がダイエットや健康に大きな影響は無いのに
「地中海の食事が健康的」=「地中海周辺の人は毎日赤ワインを飲んでる」=「ダイエット・健康には赤ワインだ」となっているのも疫学が招いた誤解です。
そんな疫学には注意点があるのです。
ある病気が特定の集団に見られたと言ってそ子に因果関係が無い事も多々あります。
統計的なデータは調査側の解釈によって結果が違ってくるのです。
しかも、研究者は良い結果が出れば論文が注目されますが、「効果なし」「悪い結果になった」という研究結果であれば、注目されないためそんな論文は出したく無いのです。
そのため、都合の悪い結果を排除して自分の仮説を裏付けるものだけを採用する事も珍しい事ではありません。
実際に海外で匿名回答での「研究結果を誤魔化したことはあるか?」と言う質問に15%程度の研究者はYESと回答、更に中堅の研究者はキャリアアップのために20.6%もの割合で論文を改ざんした事があると回答した。と言った事実もあります。
なので基礎的な知識から考えて論文を読む必要があります。
よく「これはメタ分析だから正しいんです!」「レビュー論文だからこの方法が絶対!」とyoutubeなどで言っている人ががいます。
確かに論文のレベル的にはガイドラインの次にメタ分析、系統的レビューは信頼性が高いですが、同じメタ分析でもやはり信頼性の低いものや、そもそもレビューのために集めた論文の質が低いものも多いです。
なので、思考停止をしてメタ分析だから全て正しいと思わずにしましょう。
特に私の記事では取り扱いませんが心理学、行動科学系の論文は6割が再現性のない研究で信頼性が低いと言った結果もあるため、注意が必要です。
少し話が反れましたが、疫学だけでは仮説段階であり臨床的な実験を行わないと実際の所、因果関係はわからないと言う事です。
●塩分=高血圧説の疫学の調査の1つ
上記の様な疫学の調査結果は実際にありました。
それが日本の東北地方で高血圧が多いと言った調査結果です。
1日の塩分摂取量の目安は6gとされていますが、実際は1日10〜11gの塩分を摂っている人が多いです。
しかし、東北地方で高血圧が多かった県は1日に10〜11gよりもかなり多い塩分摂取があったため塩分が悪者にされてしまいました。
食塩の摂取量が多い地域で高血圧の方がという統計であれば、この仮説は成立します。
しかし、実際この時の調査では塩分の摂取量が少なくても高血圧の人もいれば、塩分摂取が多くても低血圧の人もいました。
一人一人の個体差で見れば、仮説は成立しなかったのです。
しかし、疫学は「地域」や「食生活」などに注目するため個体差から目を晒しがちです。そのため【塩分を多く摂っている人は高血圧になる】と言われる様になりました。
ですが、平成24年の国民栄養調査報告では食塩の消費が多いのは
1位岩手県
2位長野県
3位山形県
4位埼玉県
5位山梨県
なのに対し
10万人あたりの高血圧患者の多さは
1位山梨県
2位島根県
3位青森県
4位長崎県
5位熊本県
となりました。
これだけでも塩分の摂取量と血圧に大きな因果はないと考察できますね。
◆高血圧は栄養で解決
そもそも、血圧とは何かご存知ですか?
血圧とは心拍出量×末梢血管抵抗で出た数値のことです。
つまり、心臓が強く血液を押し出すか、血管が収縮すれば血圧は高くなります。
心臓が強く血液を押し出すときは緊張しているときや運動中などです。
末梢血管抵抗が強くなるときは寒い中で身体がギュッと力が入っている時や加齢や栄養不足により血管が硬くなった時などです。
この抹消血管抵抗が強い状態が続くと日本人の高血圧のほとんどを占める「本能性高血圧」になります。
カリウムは細胞内のナトリウムを排出し浸透圧を一定に保つ役割があります。
カリウムが豊富な果物をよく食べる人は高血圧の割合が少ないといった結果も出ています。
ちなみにナトリウム:カリウム=1:0.6の比率がベストなため、血圧が気になる人はカリウムが豊富なほうれん草、りんご、スイカ、バナナ、メロンなどを食べることをオススメします。
またマグネシウムは血管を弛緩させる役割があるため収縮が続いている血管の負担軽減になります。
また高血圧だけでなく不整脈を予防する効果もあると分かっています。
マグネシウムは海藻、ゴマ、ナッツなどに含まれているため意識して食べていきましょう。
また味が苦手ではない方は硬水のミネラルウォーターを飲めば簡単にマグネシウムが摂取できます。
また他の栄養素として「タンパク質」「カルシウム」が必要です。
タンパク質は血管の新生や浸透圧の調整などに使われ、カルシウムは血管のスムーズな収縮を促します。
実際の研究で遺伝子的に必ず高血圧になるラットに「タンパク質」「カルシウム」「マグネシウム」「カリウム」を与えると寿命で亡くなるまで血圧は正常に保たれた。といった結果も出ています。
この様な結果が出ているにも関わらず、病院では「高血圧だから塩分を控えなさい」と言われます。
こういった研究を知らない事やそもそも栄養学に詳しくないためだと思いますが、だからといってすぐに薬を処方するのはどうかと思います。
むしろ「塩分を控えて!」と言われて塩分を控えると逆に身体を不調をきたしてしまいます。
塩分(ナトリウム)は体液の量を調節したり、細胞の形を維持します。
また尿を作る役割にも欠かせませんし、神経系の働きをさせているのもナトリウムです。
そのため、ナトリウムが不足すると腎臓や神経がダメージを受けます。
大切なのは血圧を下げたいからと言って塩分を控えるのではなく、他の栄養素をしっかり摂って身体が充分に機能を発揮できる様にする事です。
これは血圧だけでなく、その他の健康やダイエット・トレーニングにも言える事です。
◆降圧剤は血栓を作る可能性がある。
高血圧に対して薬が処方されると言いましたが、その薬(降圧剤)にも注意が必要です。
一口に降圧剤と言っても種類は豊富ですが、主に使われるのは利尿剤です。
理由として「血圧が高い」=「体内の血液の量が多い」=「体内の水分量が多い」=「尿で出せば水分量が減って血圧が下がる」という単純な考え方です。
確かに尿を出せば水分量は減って、見かけの血圧は下がります。
血液は水分だけで構成されている訳ではないですが、利尿剤で減るのはすいぶんだけです。
そうなると血液は少ない水分に対し、多くの物質を含む事になります。
つまり血液の粘度が増して、ドロドロの状態になり血液の質が尿を出す前よりも悪くなります。
血液は粘度が高いほど血栓(血管内の血の塊)ができやすくなります。
高血圧を下げるために利尿剤を使って血栓ができて、脳に詰まるなんて事があればたまったもんじゃないですよね。
◆高血圧と塩分は因果なし
ここまで高血圧と塩分が関係ないといったことを話してきましたが、その他の証明として、3000人以上を対象に高塩分摂取グループと低塩分摂取グループに分けて、13年間健康状態を追った調査では循環器障害の発症に有意差はなかった事。
アメリカで高血圧患者を集めて薬を一切使用せず減塩治療を行った所、血圧の低下は見られなかった事が分かっています。
他の研究でも塩分を1日6g以下にすれば高血圧患者の血圧が下がったと結果が出たものもありますが、結果が出たのは20%程度で80%の高血圧患者には効果がなかったとされています。
ただ例外として「すでに高血圧を持っている患者」に対しては塩分摂取が高血圧を助長する要因になる可能性があります。
また塩分の過剰摂取で高血圧を発症する人も完全に0ではなく、1〜2%程度いる事も分かっています。
しかし、とても少ない数のためやはり高血圧には「減塩」「降圧剤」を使用するよりもまずは正しい食事をする事が健康を維持するための重要な要素となります。
●まとめ
思ったよりも長くなってしまいましたが、今日のまとめです。
・高血圧は塩分が原因じゃない
・塩分が原因の人は1〜2%で減塩や薬では血圧は正常にならない
・研究や実験も絶対ではないため盲信しすぎない
・血圧低下には正しい食事(特にタンパク質、カルシウム、マグネシウム、カリウム)が重要
今日の記事を読んで勘違いしないで欲しいですが、私は医者を批判している訳ではありません。医者の業務はとても激務であり、栄養学などを勉強している暇がないのは十分承知しています。
そして処方されている薬を急にやめると体調に異変を来すため、医者や自身の体調と相談しながら変えていきましょう。
ただ現在の医学はこの様な間違った情報が多く溢れています。
間違った情報に流され、健康に害があってからでは遅いため少しでも皆様のお役に立てる情報を発信していけたらなと思っています。
今日も記事を読んで頂きありがとうございました。
思った以上に長くなってしまいました。
普段よりも真面目な内容なため面白くなかったかも知れませんが、健康のための知識として知っておいて頂ければと思います。
ではまた次回お会いしましょう。
【超基本】トレーニングの3つの原理と5の原則
こんにちは、今日はいつもの様々な研究から効率の良いトレーニングなどを紹介する記事ではなく、トレーニングする上で必ず知っていないといけないトレーニングの原理と原則についてお話しします。
トレーニングで結果を出すためには最新の研究や科学的に証明されている事を知識として知っておく事も必要ですが、それ以前にトレーニングにおける不変的な原理・原則を知る必要があります。
原理・原則の意味は辞書にはこうあります。
原理:多くの物事を成り立たせる根本的な法則。認識や行為の根本をなす理論。
原則:特別な場合を除く、一般的に適応される根本的な理論
どれだけ新しい知識を蓄えようとも基本的な地盤がないと、どんな事も成立しません。
前回の記事でも紹介した【意識性の原則】も基本的な原則の1つです。
今日は普段よりも記事のボリュームは物足りないかも知れませんが、一度トレーニングの基礎・基本を復習してみましょう。
◆トレーニングにおける不変的な原理
トレーニングに置いて変わらない原理は3つあります。
それが
・過負荷(オーバーロード)の原理
・特異性の原理
・可逆性の原理
です。
内容を1つずつ紹介していきましょう。
【過負荷(オーバーロード)の原則】
過負荷とは日常生活以上の負荷という事です。
基本的に人間の日常生活はどれだけ高負荷でも1RMの30%を超えないと言われています。
どれだけ頑張ってもという事は基本的には15%前後、デスクワークなど身体をあまり動かさない人は更に低い負荷量で生活しているという事です。
毎日の生活で負荷が高いと身体や精神を壊してしまうため、これは生活する上では良い事なのですが、やはりそうなると筋肉の成長は期待出来ません。
そのため、筋肉の成長を促すためにはトレーニングで日常生活以上の負荷をかける必要があります。
また過負荷の原理にはもう1つ重要な考え方を持つ必要があります。
それが「慣れ」です。
考えてみてください。
普段エレベーターばかり使う人がダイエットのために階段を使う事にしたとしましょう。
初めのうちは徐々に体重が減っていき、体力や筋肉も付いてくるでしょう。
しかし、だからと言って際限なく痩せていくでしょうか?
そんな事はないはずです。
人間は生物の中でもトップクラスに適応力があるため、一定の期間同じ事を続けると身体が順応してしまいその負荷が日常生活レベルになります。
これはトレーニングでも同じ事で毎回同じ負荷や同じ種目をしていても身体は変わっていきません。
そのため、筋肉を成長させるには重量やレップ数・セット数、種目などの変数を変えていく必要があります。
「現状維持は衰退と同じ」と言った言葉がある様にトレーニングに置いて変化のない同じ事を繰り返すことは避け、慣れてきたら徐々に負荷量を上げていく必要があります。
【特異性の原理】
特異性とは「そのものに備わっている特殊な性質」という意味です。
これは目的によってトレーニング方法を変えましょうといった原理です。
例えば、同じトレーニングでも足腰を鍛えたいのにベンチプレスばかりしていたらいつまで経っても足腰は強くなりませんよね。
上記は極端な例でしたが、実際にフィットネスジムでは筋肉を付けたいはずなのにランニングマシンをひたすら走っている男性、痩せたいはずなのに大筋群を使う多関節運動でなく軽い負荷で腕のトレーニングばかりしている女性などをちょこちょこ見かけます。
個人的に1番多いと感じるのは「痩せたいのにひたすら高重量を挙げる事に必死になっている中年男性」です。
男なら高重量を扱える様になりたいと気持ちはとてもよくわかります。
私もトレーニング初心者のときは同じ気持ちでした。
目的が重量のアップなら良いのですが、やはり目的と方法の相違があるとなかなか自身の満足のいく結果にならないため目的によってトレーニング方法を考えて変えていく必要があります。
【可逆性の原理】
可逆性とは「変化したものは元に戻ろうとする性質」の事です。
トレーニングを始めると初めはみるみる身体が変化します。
自身の身体の変化に嬉しさを覚え、トレーニングにハマり継続できればとても良い事ですが、身体の変化が起き始めたタイミングで仕事が忙しくなりなかなかジムに行けなかったり、初めに飛ばし過ぎてやる気がなくなってしまうと折角ついた筋肉がなくなり元の身体に戻ってしまいます。
これが可逆性です。
元々、人間の身体が恒常性と言って身体を元の状態に保とうとする機能が働きます。
それが良い変化であろうと悪い変化であろうと身体は変化を嫌い元の状態に戻ろうとします。
ダイエットでリバウンドしたり、付いた筋肉がなくなり元の身体に戻ってしまうのはこのためです。
そのため、痩せた身体や筋肉の付いた身体を「普通の状態」と身体が認識するまでは、運動やトレーニングを継続する必要があります。
しかし、この可逆性は悪い事ばかりではありません。
身体が元の状態に戻ろうとするということは、一度痩せた状態、筋肉が付いた状態が普通になるとちょっとの事では太ったり筋肉が減ったりしません。
しかも、その状態になっているということは運動習慣も付いているため太る可能性は少なくなり、一生スリムな身体・筋肉質な身体を維持する事が可能でしょう。
身体に定着するまでは頑張る必要がありますが、一度身体が覚えてしまえば良いため「今日はジムに行かずダラダラしたいな」という気持ちに打ち勝って運動習慣を付けましょう。
◆トレーニングにおける守るべき原則
3つの原理の次はトレーニングの守るべき原則についてのお話しです。
トレーニング の原則は以下の5つ
・漸進性の原則
・全面性の原則
・継続性の原則
・意識性の原則
・個別性の原則
です。
【漸進性の原則】
漸進とは「段階を踏み、徐々に進んでいく事」という意味です。
トレーニングもこの漸進性が大切なのです。
「これって過負荷の原理と同じでは?」と思う方もいるでしょう。
確かに過負荷の原理と似ていますが、過負荷は「成長には日常生活や現在のレベル以上の負荷が必要」という意味に対して、漸進性は「”徐々に”進んでいく」という意味で、この”徐々に”がキーワードです。
この原則を無視して急激に負荷量を上げてしまうと関節や靭帯に負担がかかり、逆に効果が出なかったり怪我をしてしまったりします。
これはトレーニング以外でも言える事で例えば仕事でも新卒の頃に急に大きな仕事を任されてもパンクしてしまいますよね。
しかし、徐々に経験を積んでいくと難しい仕事でもこなす事が出来ます。
トレーニングもいきなり高重量や難しいことをするのではなく、自分ができる範囲で徐々に負荷量を増やしていく事でいつの間にか高いレベルに辿り着く事が出来ます。
【全面性の原則】
全面性とは言葉の通り、全身バランスよく鍛えましょうという事です。
トレーニングを始めると好きなトレーニング種目や鍛えたい部位が出てきます。
男性であれば大胸筋を鍛えるベンチプレスや上腕二頭筋を鍛えるアームカールなどは人気でジムでも鍛えている人をよく見かけます。
しかし、トレーニングメニューや部位の偏りはボディバランスを崩したり、身体を痛める原因になります。
特に綺麗な体型を目指している人は全身バランスよくトレーニングを行う必要があります。
実際に私がパーソナルトレーナーの学校に通っていた頃、クラスメイトが大胸筋と上腕二頭筋ばかり鍛えていました。
その甲斐あってかベンチプレスは130kg程度まで挙げており大胸筋もすごく筋肥大していましたが、姿勢が悪く肩も痛めていました。
更にその他の種目を一切していないため、下半身は同じクラスの女の子と上げられる重量が同じという始末でした。
トレーナーとして同じ勉強しているのに何故そんな事になるのか疑問でした。
もちろん私とはトレーニングする目的が違ったからで、彼は「重量を挙げる事」にのみこだわっていたのでしょう。
そんな彼も卒業後はパーソナルトレーナーになりましたが、本当に効果を出せているか心配です。
そこし愚痴っぽくなってしまいましたが、トレーニングは偏ってしまうと良くないと言う事です。
ただ全身のトレーニングを行い、その中で特に「この部位は頑張ろう!」と言うのは問題ないため、しっかりとした基礎をわかった上で自身の鍛えたい部位を鍛えて下さい。
またこれはトレーニングの事だけでなく、柔軟性や持久力なども関係してくるためしっかりとしたストレッチやたまには持久系の種目をやってみても良いかも知れません。
【継続性の原則】
継続性も言葉の通り、「短期間ではなく、長期的な目線で継続しましょう」と言う事です。
短期的なトレーニングは可逆性の原理によりすぐに元に戻ってしまいます。
また短期的にストレスをかけると、ストレスに適応出来ず身体を壊してしまう可能性があります。
一時期流行った某パーソナルジムでは「2ヶ月で-30kg!」と宣伝していましたが、そのジムでトレーニングを受けた人はほとんどがリバウンドしていました。
また詳しくは他の記事で書きますが、短期的で急激な糖質制限により身体を壊す人も多かったそうです。
一度某パーソナルジムでトレーニングを受けた人のトレーニングを受ける前の血液データと受けた後の血液データを見せてもらいましたが、たった2〜3ヶ月でかなり血液データが悪くなっていました。
実際の方は体重が減って満足していましたが、肌や髪は艶がなくなり顔もやつれており、体重は減って体型も変わったのにでトレーニングを受ける前の方が綺麗で若々しかったです。
何も短期的に痩せる事が全て悪いとは言いません。
結婚式や特別な事があり、痩せたいと言う気持ちは分かりますし、2ヶ月で体重が30kgも減れば人生も変わる事があるでしょう。
しかし、よほどの事がない限りトレーニングやダイエットは長期的な目線で行っていく方が健康的で効果も期待出来ます。
【意識性の原則】
これはトレーニングの際に筋肉が動いている意識や重量を挙げる意識など自分の状況を意識しながらトレーニングを行うと効果が高まるという原則です。
この原則には賛否両論ありますが、スポーツ選手や物事の上達が早い人を見ていると、やはり1つ1つを意識して考えながら行動していると感じます。
実際に前回の記事や意識性についての研究によって効果は証明されてきています。
トレーニングにおいても「筋肉に効かせる」のか「重量を挙げる」のかによって、効果が変わってきます。
意識するだけでもトレーニングの効率が変化するため、「ながら運動」ではなくしっかりと意識してトレーニングを行いましょう。
【個別性の原則】
これは人によって適切なトレーニング種目や負荷量が違うため、自分に合ったトレーニングを選択しましょうという事です。
例えばトップアスリートがやっているトレーニングだからと言って万人に効果がある訳ではないですし、Aさんに効果があったからと言ってBさんも同じことをして同じ結果になるとは限りません。
トレーニングの効果や結果には「性別、健康状態、遺伝子、トレーニング・運動歴、食事内容」など様々な要素が複雑に絡み合います。
極端なことを言うとサッカーを始めたばかりの子にネイマールと同じ練習をさせても効果がないです。(仕方ない事ですが部活動の指導でこの様な事が良く見られます)
この個別性に関しては自分自身でどんなトレーニングが適正かを探していく必要があります。
また自分1人では難しい場合はパーソナルトレーナーを付けてみるのも一つの手です。
結果的にそちらの方が結果が出やすいため、初めだけ色々と教えてもらい途中から1人でトレーニングしていくのが効率的かも知れません。
◆最新の情報・研究も大切だけど
以上の3つの原理と5つの原則がトレーニングにおいて基礎となる考え方です。
最新の情報も大切ですが、この様な基礎・基本から外れていれば効果が出ない事も多々あります。
特に栄養学に関しては論文や研究で分かった事を鵜呑みにして、そもそもの生理学・生化学的に考えるとありえない事でも「最新科学で分かった○○な方法!」「科学的に証明された食べると○kg痩せる食べ物」と見たくなる様なタイトルを付けて間違った情報を発信している人がとても多いです。
その様な情報に騙されないためにも、まずは基礎的な知識を持っておく事も大切です。
本日も記事を読んでいただきありがとうございました。
たまにこの様な基礎・基本シリーズも記事にしていければ良いと思っているため、また読んで頂けると嬉しいです。
ではまた、次回の記事でお会いしましょう。
「重量を挙げる」VS 「筋肉に効かせる」どっちが大切?
「筋トレは筋肉に効かせろ!」
筋トレを行う人は筋肉を意識する事でしっかりと筋肉を使う事ができます。
実際にトレーニングの原則として【意識性の原則】と言うものがあり、意識をするとしないでは大きな差があるとされています。
特にトレーニング初心者の方はこの「効かせる意識」を持つ事でトレーニング効果を挙げる事ができます。
しかし、トレーニングを積んでいくと
「効かせる意識は大切だけど、とにかく重量を上げる方が良いんじゃないか?」
こんな疑問を持つ方も多いんじゃないでしょうか
筋トレを行う際に1RM(自分がギリギリ1回挙げる事が出来る重さ)の重さに近くにつれ、どうしてもバーベルを挙げる事に精一杯になり筋肉への意識が薄くなってしまいます。
そうなると「重量を挙げれているから良いだろう」と言う方と
「いやいあ、筋トレは効かせないと意味がない」と言う方に別れてしまいます。
今日はそんな「重量重視の筋トレ」と「効かせる意識重視の筋トレ」どちらが良いかをお話ししていきます。
◆効かせるとは何なのか
そもそも筋トレにおいて「効かせる」とは何なのでしょう。
個人的には筋トレで「効かせる」とは動いている筋肉を意識する事やどの筋肉がどう動いているかを意識する事だと考えています。
例えばベンチプレスだと大胸筋が動いていると感じ、更にバーベルを挙げるときは大胸筋が縮んでいて、下げるときは伸びていっていると感じる事が出来ると「筋肉に効かせられている」と言っていいでしょう。
解剖学的な知識がある方は大胸筋上部の起始部が停止に近づいているなど感じられると尚良いと思います。
また「筋肉に効かせる事の出来る」=「正しいトレーニングのフォーム」と言う考え方もある様です。
特にボディビルダーやフィジークの選手はこの「効かせる意識」を重要と考えているそうです。
「効かせる」事に関しては筋肉を意識する事が大切と説明しましたが、これは科学的に証明されています。
2012年に発表された研究(過去15年間に行われた論文をまとめたレビュー論文)では、運動効果に関する指示やフィードバックにより運動の有効性(バランス、正確さ)や効率(筋活動、筋発揮、心肺機能の反応)に利点があるとされています。
つまり、運動を意識するだけでパフォーマンス向上が見られると言う事です。
◆「重量を挙げる」VS 「筋肉に効かせる」〜単関節運動〜
では、意識する事でパフォーマンスが向上するとわかった所で
「重量を挙げる」「筋肉に効かせる」どちらが良いかを検討していきます。
まず、2009年に発表された研究でアームカールを用いて「筋肉の動きに集中する内部意識」「重量を挙げる事に集中する外部意識」のどちらが良いかを調べています。
結果は外部意識に対して内部意識で40%程度、筋活動が大きい事が分かりました。
しかし、外部意識のグループは持ち上げられる重量が内部意識のグループよりも7%程度重かったといった事もわかりました。
この実験から「筋肥大目的なら効かせる意識」「重量を挙げたいなら挙げる意識」が有効と分かります。
ですが、これは1回だけのトレーニングで出た結論です。
トレーニングは長期的な変化が大切なため、この段階ではまだどちらが良いかは判断できません。
●長期的な変化はどうなのか?
先ほどの研究では1回のトレーニングで起こった変化を見ましたが、2018年に長期的な変化を追った研究がされています。
その研究では2つのグループにバーベルカール(上腕二頭筋)とレッグエクステンション(大腿四頭筋)をしてもらいました。
トレーニング期間は8週間で片方のグループには「筋肉を締める意識」をする様に、もう片方には「重量を挙げる
事を意識」する様に指示されました。
その結果「筋肉を締める意識」をしたグループは「重量を挙げる事を意識」したグループより約1.6倍の筋肥大が見られました。
この研究では重量の変化は調べられていませんでしたが、筋肥大に関しては意識がとても重要な要素になっていると考えられます。
◆「重量を挙げる」VS 「筋肉に効かせる」〜多関節運動〜
ご紹介した様にアームカールやレッグエクステンションの様な単関節運動では、どこに意識を置くかで筋肥大か筋力発揮の伸び率が変わってきそうです。
では、ベンチプレスなどの他関節運動はどうでしょう。
2012年に
「2つのグループを作りベンチプレス時に片方には大胸筋を、もう片方には上腕三頭筋を意識してもらい筋活動に変化があるか調べた」という研究がされています。
結果は「筋肉を意識する事で意識した筋肉の活動量が10%以上向上した」となりました。
更にこの研究では面白い事に1RMの50%・80%と重量を変え「意識する・しない」で筋活動に変化があるか調べられています。
結果は「1RMの50%だと筋肉を意識した方が筋活動が増えたが、80%の場合は意識しない方が筋活動が強くなった」となりました。
これは50%は意識出来る位の重量だが、80%になると筋肉を意識するよりもバーベル挙げる事に集中してしまうからだと考えます。
また今回はベンチプレスを使っていますが、この様な多関節運動では重量が重くなるに伴って全身の力を発揮する必要があるため、「ここの筋肉を意識する!」なんて言っている場合ではないのかも知れません。
次はベンチプレスの意識に加え挙上速度に関してのお話しです。
●「素早くバーベルを挙げる」VS「効かせる筋トレ」
トレーニングをする上で筋肥大だけでなくパワーも大切になってきます。
パワーは力(筋力)×速度で求める事ができます。
パワーをつけるためには、ゆっくり効かせる事よりも出来るだけ素早くバーベルを挙げる事を意識して行うのですが、このパワーのトレーニングは筋肉を意識して行うトレーニングより筋肉の活動量は多いのでしょうか?
2018年に行われた研究では1RMの50%でベンチプレスを行い、以下の条件を付けました。
①バーベルを普通に上げ下げする。(筋肉への意識なし)
②バーベルを普通に上げ下げする。(大胸筋or上腕三頭筋を意識)
③バーベルをなるべく素早く挙げる。(筋肉への意識なし)
④バーベルをなるべく素早く挙げる。(大胸筋or上腕三頭筋を意識)
結果は①に対して②で約5%程度、③で15%程度、大胸筋と上腕三頭筋の筋活動が増えました。
また④のバーベルをなるべく素早く挙げる(大胸筋or上腕三頭筋を意識)では③以上の筋活動は見られませんでした。
やはり、高重量や速さを意識し爆発的な力が必要なときは特定の部位を意識して効かせることは難しそうです。
◆「効かせる意識」や「重量・パワー系種目」は目的次第
本日は様々な研究を元に「筋肉に効かせる筋トレがいいのか」「ひたすら重量を挙げる筋トレ」が良いのかを紹介してきました。
結論をまとめると目的次第で方法を変えた方が良いと感じました。
例えば筋肥大を目的にする場合、あまり重すぎる重量を扱わず、1RMの50~70%程度で鍛えている筋肉を意識することで筋肉の活動量が増え、筋肥大を期待できます。
筋肥大よりも重量の向上やパワーの向上で最大挙上重量を挙げる事を目的とした場合、1RMの80〜90%の重量で重量を挙げる事や素早く動かす事を意識した方が効果的です。
またトレーニング初心者はトレーニングのフォームを獲得出来ていないため、高重量でのトレーニングすると怪我をしたり身体を痛める可能性があります。
トレーニング初心者は初めは高重量でのトレーニングを控えて、やや軽い重量で筋肉に効かせる意識やフォームの獲得を目指す事で長期的に見るとトレーニングの効果が上がってきます。
本日の記事はいかがだったでしょうか?
筋肉に効かせる事や重量を挙げる事への意識だけでトレーニングの効率が変わってくるため、この様な小さい事の積み重ねが理想の身体への近道ではないかなと考えています。
もしあなたが現在フィットネスジムに通っているなら、今日から目的に応じた意識を持ってトレーニングをしてみましょう。
本日も記事を読んでいただきありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。