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「重量を挙げる」VS 「筋肉に効かせる」どっちが大切?

「筋トレは筋肉に効かせろ!」

筋トレを行う人は筋肉を意識する事でしっかりと筋肉を使う事ができます。

実際にトレーニングの原則として【意識性の原則】と言うものがあり、意識をするとしないでは大きな差があるとされています。

 

特にトレーニング初心者の方はこの「効かせる意識」を持つ事でトレーニング効果を挙げる事ができます。

 

 

しかし、トレーニングを積んでいくと

「効かせる意識は大切だけど、とにかく重量を上げる方が良いんじゃないか?」

こんな疑問を持つ方も多いんじゃないでしょうか

 

 

筋トレを行う際に1RM(自分がギリギリ1回挙げる事が出来る重さ)の重さに近くにつれ、どうしてもバーベルを挙げる事に精一杯になり筋肉への意識が薄くなってしまいます。

 

そうなると「重量を挙げれているから良いだろう」と言う方と

「いやいあ、筋トレは効かせないと意味がない」と言う方に別れてしまいます。

 

 

今日はそんな「重量重視の筋トレ」と「効かせる意識重視の筋トレ」どちらが良いかをお話ししていきます。

 

◆効かせるとは何なのか

もそも筋トレにおいて「効かせる」とは何なのでしょう。

 

個人的には筋トレで「効かせる」とは動いている筋肉を意識する事どの筋肉がどう動いているかを意識する事だと考えています。

 

例えばベンチプレスだと大胸筋が動いていると感じ、更にバーベルを挙げるときは大胸筋が縮んでいて、下げるときは伸びていっていると感じる事が出来ると「筋肉に効かせられている」と言っていいでしょう。

 

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剖学的な知識がある方は大胸筋上部の起始部が停止に近づいているなど感じられると尚良いと思います。

 

また「筋肉に効かせる事の出来る」=「正しいトレーニングのフォーム」と言う考え方もある様です。

特にボディビルダーやフィジークの選手はこの「効かせる意識」を重要と考えているそうです。

 

「効かせる」事に関しては筋肉を意識する事が大切と説明しましたが、これは科学的に証明されています。

2012年に発表された研究(過去15年間に行われた論文をまとめたレビュー論文)では、運動効果に関する指示やフィードバックにより運動の有効性(バランス、正確さ)や効率(筋活動、筋発揮、心肺機能の反応)に利点があるとされています。

 

つまり、運動を意識するだけでパフォーマンス向上が見られると言う事です。

 

◆「重量を挙げる」VS 「筋肉に効かせる」〜単関節運動〜

 

は、意識する事でパフォーマンスが向上するとわかった所で

「重量を挙げる」「筋肉に効かせる」どちらが良いかを検討していきます。

 

 

まず、2009年に発表された研究でアームカールを用いて「筋肉の動きに集中する内部意識」「重量を挙げる事に集中する外部意識」のどちらが良いかを調べています。

結果は外部意識に対して内部意識で40%程度、筋活動が大きい事が分かりました。

しかし、外部意識のグループは持ち上げられる重量が内部意識のグループよりも7%程度重かったといった事もわかりました。

 

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の実験から「筋肥大目的なら効かせる意識」「重量を挙げたいなら挙げる意識」が有効と分かります。

ですが、これは1回だけのトレーニングで出た結論です。

レーニングは長期的な変化が大切なため、この段階ではまだどちらが良いかは判断できません。

 

●長期的な変化はどうなのか?

 

ほどの研究では1回のトレーニングで起こった変化を見ましたが、2018年に長期的な変化を追った研究がされています。

その研究では2つのグループにバーベルカール(上腕二頭筋)とレッグエクステンション(大腿四頭筋)をしてもらいました。

 

 

レーニング期間は8週間で片方のグループには「筋肉を締める意識」をする様に、もう片方には「重量を挙げる

事を意識」する様に指示されました。

 

その結果「筋肉を締める意識」をしたグループは「重量を挙げる事を意識」したグループより約1.6倍の筋肥大が見られました。

 

 

この研究では重量の変化は調べられていませんでしたが、筋肥大に関しては意識がとても重要な要素になっていると考えられます。

 

◆「重量を挙げる」VS 「筋肉に効かせる」〜多関節運動〜

 

 ご紹介した様にアームカールやレッグエクステンションの様な単関節運動では、どこに意識を置くかで筋肥大か筋力発揮の伸び率が変わってきそうです。

 

では、ベンチプレスなどの他関節運動はどうでしょう。

2012年に

「2つのグループを作りベンチプレス時に片方には大胸筋を、もう片方には上腕三頭筋を意識してもらい筋活動に変化があるか調べた」という研究がされています。

 

結果は「筋肉を意識する事で意識した筋肉の活動量が10%以上向上した」となりました。

 

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にこの研究では面白い事に1RMの50%・80%と重量を変え「意識する・しない」で筋活動に変化があるか調べられています。

 

 

結果は「1RMの50%だと筋肉を意識した方が筋活動が増えたが、80%の場合は意識しない方が筋活動が強くなった」となりました。

 

これは50%は意識出来る位の重量だが、80%になると筋肉を意識するよりもバーベル挙げる事に集中してしまうからだと考えます。

また今回はベンチプレスを使っていますが、この様な多関節運動では重量が重くなるに伴って全身の力を発揮する必要があるため、「ここの筋肉を意識する!」なんて言っている場合ではないのかも知れません。

 

次はベンチプレスの意識に加え挙上速度に関してのお話しです。

 

●「素早くバーベルを挙げる」VS「効かせる筋トレ」

 

レーニングをする上で筋肥大だけでなくパワーも大切になってきます。

パワーは力(筋力)×速度で求める事ができます。

パワーをつけるためには、ゆっくり効かせる事よりも出来るだけ素早くバーベルを挙げる事を意識して行うのですが、このパワーのトレーニングは筋肉を意識して行うトレーニングより筋肉の活動量は多いのでしょうか?

 

 

2018年に行われた研究では1RMの50%でベンチプレスを行い、以下の条件を付けました。

 

①バーベルを普通に上げ下げする。(筋肉への意識なし)

②バーベルを普通に上げ下げする。(大胸筋or上腕三頭筋を意識)

③バーベルをなるべく素早く挙げる。(筋肉への意識なし)

④バーベルをなるべく素早く挙げる。(大胸筋or上腕三頭筋を意識)

 

 

結果は①に対して②で約5%程度、③で15%程度、大胸筋と上腕三頭筋の筋活動が増えました。

また④のバーベルをなるべく素早く挙げる(大胸筋or上腕三頭筋を意識)では③以上の筋活動は見られませんでした。

 

やはり、高重量や速さを意識し爆発的な力が必要なときは特定の部位を意識して効かせることは難しそうです。

 

◆「効かせる意識」や「重量・パワー系種目」は目的次第

 

日は様々な研究を元に「筋肉に効かせる筋トレがいいのか」「ひたすら重量を挙げる筋トレ」が良いのかを紹介してきました。

 

結論をまとめると目的次第で方法を変えた方が良いと感じました。

 

 

例えば筋肥大を目的にする場合、あまり重すぎる重量を扱わず、1RMの50~70%程度で鍛えている筋肉を意識することで筋肉の活動量が増え、筋肥大を期待できます。

 

筋肥大よりも重量の向上やパワーの向上で最大挙上重量を挙げる事を目的とした場合、1RMの80〜90%の重量で重量を挙げる事や素早く動かす事を意識した方が効果的です。

 

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たトレーニング初心者はトレーニングのフォームを獲得出来ていないため、高重量でのトレーニングすると怪我をしたり身体を痛める可能性があります。

レーニング初心者は初めは高重量でのトレーニングを控えて、やや軽い重量で筋肉に効かせる意識やフォームの獲得を目指す事で長期的に見るとトレーニングの効果が上がってきます。

 

 

本日の記事はいかがだったでしょうか?

筋肉に効かせる事や重量を挙げる事への意識だけでトレーニングの効率が変わってくるため、この様な小さい事の積み重ねが理想の身体への近道ではないかなと考えています。

もしあなたが現在フィットネスジムに通っているなら、今日から目的に応じた意識を持ってトレーニングをしてみましょう。

 

 

本日も記事を読んでいただきありがとうございました。

また次の記事でお会いしましょう。