【プロテイン】VS【EAA】VS【BCAA】
こんにちは、いきなりアルファベットだらけのタイトルになってしまいましたが、あなたはトレーニングの効果を上げるために何かサプリメントを飲んでいますか?
数年前であれば「筋トレにはプロテインだ!」と言われていて、トレーニングするならとりあえずプロテインを買っていれば良い様な風潮でしたが、空前のフィットネスブームの現在は様々なサプリメントが出てきています。
特にトレーニング系でよく見かけるのは【プロテイン】【EAA】【BCAA】の3つではないでしょうか?
ネットで調べてみても「筋トレにはプロテイン」「科学的にはEAAが効果的」「筋肥大にはBCAA」など意見がバラバラでトレーニング初心者であれば何を選んだら良いのか分からないですよね。
今回はそんな【プロテイン】【EAA】【BCAA】の効果と何を選ぶべきかを比較して紹介したいと思います。
ちなみにEAAとは何か?や効果などについてはこちらの記事も参考にしてみてください。
◆そもそもこの3つは何が違うの?
今回【プロテイン】【EAA】【BCAA】を比較するにあたって、まず前提として知っておいて欲しい事がこれらは全て「タンパク質のサプリメント」という事です。
トレーニングの効果を高めて筋肥大や筋力強化を向上させるには、筋肉の原料であるタンパク質をしっかりと摂取する必要があります。
今回の3つもそのタンパク質を摂取するためのサプリメントのため、ネットで出てくる「筋トレには○○!!」にどれが入っても間違いではないのです。
ですが、やはり多くのネットで出てくるサプリメントの紹介記事ではサイトから商品を買ってもらいたいので自身が紹介している商品の宣伝のため1つの商品の効果を細かく書いていて、まだあまり知識のない方は「こっちのサイトではBCAAが良いって書いてあるけど、こっちではEAAが良いって書いてあってよく分からない」といった事が起きてしまいます。
特に大手のサプリメント会社のサイトだと購入に繋げる必要があるため、真偽を疑ってしまいますよね。
しかし、この3つの違いはとても簡単です。
調べると色々効果が書いてありますが、単純にこの3つは「含まれているアミノ酸の種類が違う」だけです。
タンパク質はアミノ酸の集合体なのですが、BCAAやEAAは特定のアミノ酸だけが含まれているだけなのです。
では、その含まれているアミノ酸の種類が違うと身体にどんな効果があるのでしょう?
1つずつメリットとデメリットを解説していきます。
◆プロテインのメリット
トレーニングをしていない人でも「筋トレと言えばプロテイン」といったイメージがある王道であるプロテイン
プロテインはそのまま「タンパク質」の直訳ですがプロテインを飲む事でどんな効果があるのでしょう?
これは言うまでもなくもちろん「筋肥大効果増大」「筋力強化」「傷ついた筋繊維の回復が早くなる」など様々な効果があります。
実際にプロテインに関しては多くの研究がされており。
例えば2015年に発表されたこの研究ではプロテインは筋肥大や筋力強化を加速させ、有酸素運動、無酸素運動の能力を向上させると言われています。
また2014年に出されたこちらの研究では「プロテインは筋損傷や筋肉痛を軽減する」と言われています。
しかし、これは「日常的にタンパク質を補給している人」に限った効果であり、1日だけ飲むなど短期間だけの摂取では効果は出なかったそうです。
更に研究自体はレビュー論文なのですが、参考記事が27件と少なく同じレビューの中でもエビデンスレベルは低いため更なる追加研究が必要かなと考えます。
それでも効果がある事は他の研究でも明らかなのである程度信用性はあると思います。
プロテインについての研究は多すぎるため、この辺にしておきますがやはりプロテインにはかなりのメリットがありそうですね。
◆プロテインのデメリット
かなり素晴らしい効果があったプロテインですが、逆にデメリットはどういったものでしょうか?
まずプロテインのデメリットとして良く聞くのは「肝臓」「腎臓」への負担ではないでしょうか?
確かにプロテインはタンパク質(アミノ酸)なため代謝や濾過される際に肝臓、腎臓を通る必要があります。
そのため「プロテインを飲みすぎると腎臓を壊す」など言われている訳ですが、これが起こるのはプロテインを過剰摂取しすぎた時だけです。
スマホのメモリや自分の体力など物事には何事にも容量というものがあります。
人間の内臓も同じで栄養素を代謝できる容量があるのです。
個人差がありますが、肝臓であれば一度に代謝できるタンパク質の量は30g前後です。
これ以上のタンパク質を一度に摂取しても、体外に排出されてしまいます。
そうなれば当然肝臓に負担がかかってしまいますし、体外に排出する際に腎臓で濾過されるため腎臓にも負担がかかります。
逆に言えば、適切な量を摂取していれば肝臓や腎臓に問題は起こりません。
また多少過剰に摂取したところで正常な肝臓と腎臓であれば問題なく代謝されるため、腎機能不全などを起こす可能性は低いため安心してください。
それでも一度に40gのタンパク質を摂取した時と20g摂取したときの血中アミノ酸濃度や筋肥大に変わりはなかったといった実験結果もあるため過剰摂取は単純に無駄なので控えた方がいいでしょう。
ただし、元々腎臓に問題がある人などはプロテインを飲む事で腎機能に異常をきたす可能性があるため医師に相談した上で飲むかどうかの判断をしましょう。
ちなみに「プロテインを飲むと体臭がキツくなる」とも言われていますが、これも過剰摂取による影響とプロテインでお腹がいっぱいになり食事を抜いてしまい野菜を食べる量が減ってしまう事が原因のためしっかりとバランスを考えれば大丈夫です。
ここまででプロテインにはかなりメリットが大きく、過剰摂取さえしなければデメリットはほとんどないと分かりました。
では次は最近注目を浴びているEAAについての解説です。
◆EAAのメリット
まずEAA とは Essential Amino Acidの略で「必須アミノ酸」の事です。
人間の体を構成するアミノ酸は全部で20種類あ理、11種類は体内で合成されるため必ずしも食事で取る必要のない非必須アミノ酸なのですが、残りの9種類は体内で合成できないため体外から摂取する必要がある必須アミノ酸と呼ばれています。
プロテインはこの20種類全て配合されているのですが、EAAは9種類の必須アミノ酸だけを集めたものになります。
そんなEAAの一番のメリットはなんと言っても「必須アミノ酸の濃度が高い」という事です。
人間の身体を構成する上で絶対に必要な必須アミノ酸のみを集めているため、筋合成をする上で重要なものになります。
EAAについても様々な研究があるのですが、EAAを摂取する事で「筋合成促進」や「筋肥大促進」などの効果がある事が分かっています。
EAAについては効果をまとめた記事があるため、興味があれば読んでください。
プロテインは20種類全てのアミノ酸が含まれているためバランスはとても良いですが、その分アミノ酸1つ1つの分量が少なくなってしまいます。
もちろん筋肉には20種類全てのアミノ酸が必要ですが、食事をしっかりとっていれば11種類は体内で合成されるため、体外から摂取する必要のある9種類を重点的に取る方が効率的です。
また「18gのEAAのみ摂取したグループ」と「18gのEAAと22gの非必須アミノ酸を摂取したグループ」では筋合成が変わらなかったことからEAAが筋肉の成長に深く関与していることが考えられます。
つまりバランス良くアミノ酸を摂取するならプロテイン、必須アミノ酸のみを摂取したいならEAAということになります。
どちらを選ぶかはその人の栄養状態次第ですが、お金に余裕があるならプロテインとEAAを組み合わせるのが良いでしょう。
◆EAAのデメリット
EAAのデメリットですが、やはり1番はプロテインと同じ過剰摂取が問題になります。
理由はプロテインと同じで、過剰摂取になることで肝臓、腎臓に負担がかかります。
またもう1つのデメリットとして「アスリートやハードなトレーニングをする人は非必須アミノ酸も必要になる」という事が挙げられます。
こちらの論文ではアスリートなどの高強度な運動をする人は運動中に体内の必須アミノ酸が枯渇してしまうため、非必須アミノ酸によって筋合成や回復が行われると結述べられています。
しかし、その他の研究では「プロテインとEAAでは筋合成に違いはなかったため、筋合成はEAAの影響とされる。」
というものもあるためどちらか1つ選ぶ場合「アスリートやハードトレーニングをする人はプロテイン」「普通のトレーニングの場合はどっちでも良いが、EAAが筋合成に関与している可能性が高い」という事を念頭に置いて考えてみてください。
◆BCAAのメリット
最後はBCAAです。
BCAAとはBranched Chain Amino Acidの略で「 分岐鎖アミノ酸」の事です。
分岐鎖アミノ酸とは9種類ある必須アミノ酸の中の「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」の3つの事を言います。
BCAAは少し前にトレーニーの間で注目され今も飲んでいる方は多いサプリメントです。
何故、この3種類かというと筋肉が合成にされる時にこの3種類が深く関わっているからです。
特にロイシンは筋肉の合成に重要なものです。
BCAAの効果としては主に「筋合成の促進」と「疲労回復」を謳っているものが多いです。
実際に筋力強化の効果があるとされる研究やBCAAを飲む事で筋肉痛が大幅に軽減したという研究結果が出ています。
最近ではロイシンが筋肥大を促すとされているため、ロイシンの比率を多くしたBCAAやロイシンが多いが売りのHMBなどが販売されていて、とても効果があるように感じます。
更に先ほどの研究はどちらもレビュー論文なので少し論文のエビデンスレベルを知っている人は「レビュー論文で言っているんだから間違いない!!」と思うかも知れません。
もちろん間違っている訳ではないのですが、気をつけないといけない点があります。
それを次のデメリットでお話ししましょう。
◆BCAAのデメリット
BCAAのデメリットは何なのか
それは「効果が薄い」という事です。
「え、レビュー論文で証明されたんじゃないの?」と思うかも知れませんが、実はBCAAの研究はほとんどが「BCAAを補給したグループ」と「補給しなかったグループ・プラセボ群」なのです。
これの何が問題かというとBCAAはアミノ酸のため筋肉の材料です。
それを補給するグループと補給しないグループでは補給した方が効果が出るのは当たり前です。
それなのにBCAAを勧めているサイトのほとんどは「BCAAを飲んで筋肥大したという結果が出ています!」「なのでこの商品を買いましょう!」といった言い方をしています。
しっかりと効果を謳いたいのであればプロテインやEAAなどその他のサプリメントを飲んだグループと比較させるべきです。
そしてそれを行なってくれていた研究がありました。
この研究は2017年に発表されたもので5.6gのBCAAをウエイトトレーニングに飲むグループと飲まないグループに分けて比較した結果、飲んだグループは飲まないグループよりも22%も多く筋合成されたとされています。
しかし、実はホエイプロテインを飲んだグループとも比較されており、BCAAグループではプロテイングループの半分以下の筋合成だったという結果になっています。
つまり、何も飲まないよりは22%筋合成されるがそれでもプロテインの半分にも満たない効果だったという事です。
更に他の研究ではBCAAは筋肉の分解(カタボリック)状態の時に筋分解を抑制する効果をみた実験では、BCAAを摂取しても筋の分解は抑制されず筋肉を分解しBCAA以外の必須アミノ酸を新生していたといった結果が出ています。
これらの研究結果からBCAAは何も飲まないよりは効果は期待できるが、EAAやプロテインに効果は遠く及ばないと考えられます。
この理由としては前回の記事で紹介した【アミノ酸の桶理論】を考えれば当たり前の事です。
●BCAA研究の闇の一例
少し話が逸れますがBCAAに関してはこんなお話があります。
誰でも聞いたことのある大手の会社が研究者にお金を渡して「BCAAを売りたいから、効果があるという研究結果を出してくれ」と依頼しました。
しかし、どうしても思うような結果が出なかったそうです。
そのため、その会社はBCAAを大きく売り出すことはしなかったそうです。
「でも結果が出なかった事を言わないのは何故?」
これはそこの会社だけではなくサプリのメーカーや販売者全てに言える事ですが、彼らは商品を売りたいためプラスの面は宣伝してもマイナス面はなかった事にします。
まぁ当然と言えば当然ですよね。
また会社に関係ない研究者たちも効果が出なかった事を発表しない理由としては、「研究にはお金が必要なため今後も研究を続けていく資金を貰えなくなるのは困るから」「会社が大手なため睨まれると簡単に潰されるから」といった理由が考えられます。
これは日本だけでなくどこの国でも行われている事です。
そのため論文だから、研究だからと全て信じてしまうことはとても危険です。
どれだけエビデンスレベルが高くてもまずは疑う事が必要でしょう。
◆まとめ
長くなってしまいましたが、今回のまとめに入ります。
今回の要点としては
・筋肥大に関してはEAAだけでも良い。
・ハードな運動をするなら非必須アミノ酸が入っているプロテイン
・どちらも過剰摂取はNG
・BCAAは効果があるものの他2つには劣る。
・BCAAを取るなら他のアミノ酸の土台を作ってから
こんな感じでしょうか。
僕の中のイメージとしてはこんな感じです。
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まずはしっかりと5大栄養素(糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル)の土台を作ってからサプリメントを飲む事でトレーニングの効果が期待できます。
(タンパク質の土台はプロテインの事です。)
今回の記事はいかがだったでしょうか?
ややこしい【プロテイン】【EAA】【BCAA】について少し理解を深めて頂けていたら幸いです。
本日も記事を読んでいただきありがとうございました。
また次回の記事でお会いしましょう。