人工甘味料って実際ダイエットにどうなの?という話
カロリー0、糖質0などの謳い文句の商品がコンビニやスーパーに並ぶ事は最近珍しくなくなって来ました。
個人的には某パーソナルジムでの糖質制限が流行した影響で皆が「糖質制限」「痩せるには糖質はNG」と考えるようになったのではないかと思います。
実際にダイエットと糖質は非常に重要な関係ですが、糖質制限ダイエットは良くありません。
しかし、糖質制限や糖質の本質の話は別の機会にお話しさせて頂くとして、今回は糖質カット商品に含まれている人工甘味料についての記事になります。
◆魔法の成分【人工甘味料】
スクラロース、アスパルテーム、サッカリンなど糖質カットの商品には人工甘味料が含まれています。
人工甘味料は砂糖の様に甘さを感じますが、栄養素が含まれていないため、口にしても血糖値も上昇せず、更にエネルギーも皆無なためカロリーも取らずに済みます。
この様な作用から人工甘味料は甘いのに糖質OFFでダイエットに、カロリーOFFで健康に良い様に聞こえる商品を作る事が出来る魔法の成分となりました。
しかし、実際にはむしろダイエットや健康に悪影響を及ぼすものではないかと分かってきました。
人工甘味料は戦後から食べ物に含まれるなど、皆さんが思っているよりも昔からあります。
そのため人工甘味料に対しての研究も昔から行われていたのですが、昔からの研究は「人工甘味料は身体に悪いのではないか」という研究が多く、ダイエットに関しての研究は最近になって行われる様になってきました。
◆淘汰された人工甘味料
さて昔からある人工甘味料ですが、研究の末に使用が禁止されたものもあります。
例えばチクロ、ズルチンと言った人工甘味料は戦後の経済状況が厳しい中で安くて甘い商品を作れるとして大人気になりましたが、発がん性が確認され現在では使用が禁止されています。
またサッカリンという人工甘味料も一度は発がん性の疑いから、使用が禁止されたのですが、その後の実験で発がん性は低いと判断されたため、現在でも使用されています。
しかし、発がん性の疑いは少ないものの日本では発がん性の懸念のため、食べ物には使用されておらず歯磨き粉に使用される物がほとんどです。
またアスパルテームやスクラロースなどその他の人工甘味料も国によって使用の基準が定められたりしており、人工甘味料は発癌物質である懸念が今もぬぐい切れていない様です。
◆糖質0=太らない甘み?
少し話が逸れてしまいましたが、本題に入りましょう。
人工甘味料はダイエットに効果的か否かという話ですが、「効果的ではない」というのが私の考えです。
理由としてまず上げられるのが「血糖値の上昇がない」という点です。
「いやいや、血糖値が上がらないのは良い事じゃないか」「血糖値が高くなるから太るんでしょう?」と思うかも知れませんが、食事をすると人間は血糖値が上がる事が普通なのです。
血糖値が上がる事で膵臓からインスリンが分泌され、血糖値が徐々に下がることで満腹感を感じるのですが、人工甘味料の場合甘みを感じインスリンを出したものの血糖が上がっておらず、通常の血糖値から更に下がってしまいます。
そうするとむしろ摂食中枢が刺激され、食べたはずなのに更に食べ物を求め過食になり太ってしまいます。
更に「甘いのに血糖値が上がっていない状態」が続くとインスリンの反応が悪くなり、実際に血糖値が上がった時もインスリンを分泌しなくなります。
インスリンは血中のブドウ糖を肝臓や筋肉に送る作用があるため、インスリンが出ないと筋トレや運動時にすぐに疲れる、充分なパフォーマンスが発揮出来ない、ブドウ糖を筋肉に取り込めず筋トレの効果が薄くなるなどの影響が出て来ます。
血糖値が下がらないという事は糖尿病に向かって真っしぐらな事は明らかですよね。
実際に日本でこんな実験が行われました。
糖尿病のない33歳から55歳の男性2037人を2003年から2010年の7年間追跡したものです。7年間で糖尿病を発症したのは170人で週に人工甘味料が入ったダイエット飲料水を週に237ml以上飲む人は飲まない人に比べ、70%も糖尿病発症率が高かったそうです。
アメリカでも同じ様な実験がいくつか行われており、2015年に発表されたメタ分析でも人工甘味料が糖尿病を引き起こす原因ではないかと考えられています。
人工甘味料が生化学的に与える影響としてはGul,Sarah S,et al "inhibition of the gut enzyme intestina alkaline phoaphatase may explain how aspaetame promotes glucose intolerance and obesity in mice."Applied Physiology Nutrition and Metabolism 42,1 (2016):77-83という論文でアスパルテームが分解され生じるフィニルアラニンが小腸型アルカリ性ホスファターゼ(ALP)の働きを阻害するため代謝に異常が生じる。
と結論づけました。
ALPは肝臓や小腸などから分泌されるもので、人体の代謝の中でも特に脂質代謝に影響を与えていると考えられています。
つまり簡単にいうと人工甘味料が脂質代謝の阻害をするため肥満になりやすいということです。
また、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムKなどの人工甘味料は代謝異常症や脂質代謝の恒常性(身体が正常な状態に戻ろうとする作用)の破壊が報告されています。
更にシカゴの内科学会では「ダイエット飲料を日常的に摂取している人は通常の人よりも5倍肥満になりやすい」といった発表もされています。
◆他の味が感じなくなる人工甘味料の恐怖
人工甘味料は砂糖を使わずに甘さを感じられるものです。
その甘さは砂糖の数百倍であり、少量でも強い甘みを引き起こす事が出来ます。
例えばアスパルテーム・アセスルファムKは砂糖の200倍の甘さであり、アセスルファムKはダイエット飲料などに良く使用されています。
スクラロースであれば砂糖の600〜700倍の甘さであり、熱や酸に強いためお菓子に多く含まれています。
最近、登場した新しい人工甘味料のネオテームは砂糖の1万倍の甘み、アドバンテームはなんと砂糖の2万倍の甘みがあるそうです。
「やりすぎでしょ…」と思うかも知れませんが、実際に使用されているものもあるみたいです。
これだけの甘味を持ったものを日常的に口にしていたらどうなるでしょう?
人工甘味料で得た甘みが普通になり、自然の甘さの果物や天然成分のお菓子などでは満足出来ず食べすぎてしまうことに繋がってしまいます。
また味を感じるのは舌にある味蕾という部分なのですが、甘みにより味蕾の閾値(物事、今回なら味に反応する基準みたいなもの)が高くなり、他の味も感じにくくなります。
そうなると普段の料理も濃い味を求める様になり、食事内容が偏ったり塩や醤油、ソースなどをたっぷりかけてしまい肥満に繋がることになります。
更に濃い味の食事を日常的に食べることで高血圧や心疾患など他の病気を引き起こす可能性も高くなってしまいます。
◆結論
以上の結果から人工甘味料は健康やダイエットに向かないのではないかと考えております。
また人工甘味料は「人工」というだけあって自然なものではなく、人体にとっては異物なため、そもそもに有益な影響は与えないと考えて良いでしょう。
ただ人工甘味料は長期的に見ればダイエットや健康に悪影響ですが、唯一メリットを上げるとすれば、糖尿病患者への精神的な支えになる可能性があるということです。
現在、私は総合病院で働いており様々な患者様を見ているのですが糖尿病の患者様の食事は味気なく美味しそうではありません。
内科で入院していなくても糖尿病であれば糖尿病食になってしまいます。
味気ない食事のため、看護師の目を盗みお菓子を食べようとする方がいたり、食事自体を残してしまう方もいます。
そうなれば運動効果も出にくくなり更に入院が長引いてしまいます。
ただでさえ入院中は楽しみがないのに数少ない食事の楽しみまで奪われると精神的に辛いものがあるでしょう。
そんな時人工甘味料であれば血糖値に影響せず甘みを楽しむ事が出来ます。
もちろん取りすぎは良くありませんが、身体だけでなくメンタル面で考えた時、人工甘味料を上手く使う事で患者様の苦しみを少しでも和らげる事ができる可能性があるのではないかと考えています。
これはやや特別な例ですが、やはり基本的には健康な人やダイエットする人は人工甘味料を避ける方が良いのではないかと思います。
では、今回は人工甘味料についてのお話しをさせて頂きました。
少しでもあなたの健康やダイエットに役立てば幸いです。
今日も記事を読んでいただきありがとうございました。